装幀について
ずっと使い続ける、永く残すためには、職人たちの叡智が凝縮された「和本の構造」も重要です。それは、ごくシンプルな継ぎ、綴じを糸や糊で行い、一冊の本に仕立てるというもの。この構造は「可逆性」への配慮であり、糸を外し、水を用いて然るべき手順で解体すれば、本はバラバラの紙の状態に戻すことができます。たとえ和本に破れや折れなどが生じた場合でも、この解体を行うことで破損部分を補強する「修復」作業ができ、ふたたび装幀して使用できる状態に。解体できる構造と、解体に耐えうる素材の強さがあるからこそ、「永く残す」ことが可能になるのです。